肌を美しく保つためのスキンケアは古くから様々な方法が知られています。身近な物を使った美容法は広く普及していますが、日本では特に米ぬか美容法が有名と言えるでしょう。米ぬかは入手しやすく、扱い方も簡単なので手軽に美肌を保つのに最適です。ここでは米ぬかの特徴や効果的な美肌の保ち方、米ぬかを扱う際の注意点などをお伝えします。
【そもそも米ぬかとはどんな物?】
米ぬかは収穫した玄米を精米した際に生じる、種皮や胚芽などが粉砕された物です。米などイネ科の植物は種子を包む形で果皮と一体化した固い果実が形成されます。この果実部分が精米の際に剥がされ、米ぬかになるのです。米ぬかの量は玄米の約1割ほどであり、玄米10キロを精米した場合、9キロの白米と1キロの米ぬかに分かれます。
【米ぬか美容法の効果とは?】
米ぬかは美肌維持に役立つと言われていますが、具体的な効果として保湿が挙げられます。米ぬか100グラムに対して脂質が約7グラム含まれていますが、この脂質によって肌が乾きにくくなり、潤いが保たれるのです。米ぬかは肌に浸透しやすい性質があるため、少量でも広い範囲をカバーできます。表皮に脂質の薄い皮膜が形成されることで外気の刺激が緩和され、保湿効果が得られます。また、肌の潤いを保ち、新陳代謝を活発にする栄養も含まれているので、肌からこれらの栄養が浸透することによって若々しい、弾力性に富んだ状態が保たれるのです。
【米ぬかってどうやって手に入るの?】
米ぬかは漬け物の一種であるぬか漬けの材料になるため、スーパーなどの小売店で販売されています。また、量販店の駐車場などに設置されている無人精米所でも米ぬかを入手できる場合もあります。ただ、確実に米ぬかを入手するなら販売されている物を購入するのが賢明です。また、購入した玄米を自分で精米して米ぬかを入手する方法もあります。この方法なら欲しい分だけの米ぬかが入手できますが、精米用の設備・機器が必要になります。
【米ぬかの美容成分とは?】
米ぬかには様々な成分が含まれていますが、美肌効果に大きく関係する成分としてフィチン酸が挙げられます。フィチン酸には肌の老化を防ぎ、艶やかな状態を保つ作用があるのでシワや弛みの予防に効果的です。また、体内の毒素排出を促す作用もあることから、吹き出物の予防にも役立ちます。ビタミンBの一種であるイノシトールも皮脂の分泌量を調整し、保湿を促す作用があります。米ぬかにはイノシトールが豊富に含まれているので、乾燥肌の解消や予防に効果的です。また、ポリフェノールの一種であるフェルラ酸にメラニン色素の生成を抑制する作用があります。メラニン色素はシミやそばかすなどの原因になりますが、フェルラ酸によってこれらの発生を防ぐことができるのです。
古くから米どころの女性は肌が綺麗と言われていますが、これは単なる迷信ではなく、米ぬかに含まれている成分が美肌を促進させている証と言えるでしょう。
【米ぬか美容法ってどんな人にオススメ?】
米ぬか美容法は世代や地域を問わず、様々な人に向いていると言えますが、特に敏感肌の人や乾燥肌の人にオススメです。米ぬかは様々な成分が混在しているので、美容成分の純度だけを見れば決して高純度とは言い切れません。しかし、その純度の低さこそが肌への刺激を緩和し、優しく包み込む効果をもたらすのも事実です。米ぬかなら程良く他の成分が混在しているので肌への刺激が少なく、敏感肌の人でも肌をいたわりながらきれいな状態に保つことができます。乾燥肌に対しても同様であり、刺激を与えずに少しずつ状態の改善を促す米ぬかは理想的なスキンケア用品と言えるでしょう。
【米ぬか美容法の注意点】
米ぬかは肌に優しい天然由来なスキンケア用品ですが、その一方で劣化しやすい特徴を持っています。安全に肌に使うには、常に鮮度の高いものを使うことが大切です。米ぬかは非常に酸化しやすく、常温保存だと一週間程度で鮮度が落ちてしまいます。しかし常温保存ではなく冷凍保存にすれば、品質を一ヶ月ほど保つことができます。市販の米ぬかはキロ単位で売られている物が多いですが、できるだけ少量の購入に留め、一度に使い切る量に小分けして冷凍保存し、少しずつ使っていくのが上手な扱い方と言えます。
【食べる米ぬかで体の中からキレイに?】
米ぬかにはビタミンやミネラルなどの栄養が豊富に含まれています。肌に塗るだけではなく、米ぬかを食べることによって体の内側からキレイにすることが可能です。新陳代謝が活発になり、老廃物の排出が促進されます。米ぬかには便通を良くする食物繊維も豊富に含まれているので、便秘に悩まされる心配がありません。吹き出物や炎症、シミなどの肌トラブルは多くの場合、体内に溜まった老廃物が原因とされています。特に便秘はお肌の大敵と言われるほど悪影響をもたらします。そのため、便通を良くする米ぬかは食べるスキンケア用品と言っても過言ではありません。
【米ぬか美容法の代表】
◆米ぬか風呂
名前の通り、米ぬかを入れたお風呂に入る美容法です。肌が艶やかになり、瑞々しさを保つようになります。保温効果もあるので湯冷めしにくいメリットがあります。入浴後はべたつきを残さないために、必ずシャワーをすることで、さっぱりと過ごすことができます。
◆米ぬかパック
米ぬかに小麦と水を混ぜて生地を作り、顔に塗るパックは美肌成分を直接浸透させる効果があります。顔は常に外気に晒される部分なので肌のダメージが大きく、細やかなケアが欠かせません。米ぬかパックは肌に優しい成分が含まれているので、いたわりながらダメージを解消できます。保湿効果がありますが、時間をかけすぎるとパックが乾いてしまい、逆に肌の水分を奪うおそれがあるため、肌の潤いを保つためにも、パックの時間は5分程度に留めるのが無難です。
◆ぬか漬け美容法
ぬか漬けをかき混ぜると手が艶やかになりますが、これはぬか床に含まれている、美肌成分の作用によるものです。ぬか漬け美容法はこの点を利用したもので、ぬか床をハンドクリーム代わりにして肌を綺麗にする方法と言えるでしょう。ぬかが付着したまま漬け物を食べることで、ぬか床の栄養も効率的に摂取できます。
【米ぬか美容法には優しい美容効果がある】
米ぬか美容法は誰でも簡単に始めることができるうえ、良い効果が期待できる方法です。米ぬかの入手も比較的容易です。一方で鮮度が落ちやすいため、鮮度の高いものを使っていく必要があります。そのため、少量ずつの入手に留めるのが賢い使い方です。美肌効果はゆっくりと感じられます。理想的な美肌にするためには根気強く続けることを心がける必要があります。